ラズベリーパイをヘッドレスで立ち上げるもっとも簡単な方法(その1:準備編)

Raspberry pi

はじめに

小さなコンピュータラズベリーパイ3B+(以下、ラズパイ)を電源とネットワークを接続するだけで立ち上げるもっとも簡単な方法を紹介します。
ラズパイの標準OSのRaspbianを立ち上げるには、どうしてもコマンドラインの操作やviやneoエディタといったwindowsユーザには慣れない操作が必要になってきます。
今回は、なるべくGUIで操作し、windowsしか触ったことがなくてもスムーズにラズパイを立ち上げる方法を紹介していきます。

普通 USB有線キーボード、USB有線マウス、HDMI接続のディスプレイをラズパイに直接接続してラズパイを立ち上げます。
ラズパイを立ち上げるだけのためにキーボードやマウスを準備するのも大変ですし、ましてやリビングのTVに変なハコをつないでごそごそやっているお父さんは家族から白い目で見られるのは確実ですし。
そこで、今回はなるべく少ないモノで立ち上げを行うことにします。
マイクロSDカードにOS(Raspbian)を書き込んでからネットワーク環境などの設定ファイルを書き換え、ラズパイの電源ONでネットワーク経由でPCからラズパイを操作できるようにします。そのため、ラズパイ用のUSB有線キーボードもUSB有線マウスもHDMI接続のディスプレイも不要です。

準備

ハードウェア

ラズパイを立ち上げるのに必要なハードウェアをまとめました。

(1)ラズパイ
今回はRaspberry pi 3+を使います。多分Raspberry Zero WやRaspberry Zero WH も同じようにできると思います。 Raspberry Zeroはネットワーク環境がないのでUSB接続の有線LANか無線LANドングルが必要になります。
すでに Raspberry4も海外では売り出されています。もう少し待ってRaspberry4という手もあるかもしれません。

(2)マイクロSDカード
 今回のRaspberianではぎりぎり4Gバイトくらいになっていました。ただ4Gバイトだと余裕はありませんので8Gバイトが最低必要でしょう。私は16Gバイトのものを秋葉原で安く買いました。今は安いSDカードでもclass10なので速度に関してはそれほどこだわることもないと思います。

(3)5V2.5A以上の容量の電源と電源ケーブル(USBケーブル)
 スマホ用の電源は2A程度のものが多いようです。2.5Aは必要と本家サイトにもあります。容量に注意ください。
それと、電源用のUSBケーブルも電流を流せる確かなものを選んでください。私は右の写真のKSY製の5V3Aのケーブル直付けの電源を使っていますが、安定して動いています。

(4)windows10パソコン
 どうもMACのほうがラズパイとの親和性が良いようですが、アップル社製のものは何も持っていないので何とかwindowsでやってみます。なお、ラズパイを立ち上げるだけならCPUパワーはそれほど必要ありません。私は、マイクロソフトのSurface Goを使っています。

(5)自宅のネットワーク環境
 ルーター(ほとんどの場合、有線LANポートも備えた無線LANルーターだと思います)があって、インターネットにつながっている必要があります。またルーターはDHCPサーバーも兼ねていて自宅PCはDHCPでネットワークアドレスの払い出しを受けているものとします。

(6)その他
 もし,有線LANでラズパイをネットワークにつなぐ場合はLANケーブルが必要になります。無線LANでも接続できますが、手間は少々増えます。
 あと、ラズパイは裸の基板ですので何か金属と接触すると動作しなくなるかもしれません。ケースに入れたほうがよいでしょう。
 発熱対策にヒートシンク、ファンも必要に応じて用意してください。

ソフトウェア

(1)Raspbian OS
Raspbianは、Debianベースのラズパイ財団の公式サポートOSです。手軽にLinuxに触れることができます。
ラズパイ財団のダウンロードページには3つのバージョンがあります。

https://www.raspberrypi.org/downloads/
  1. Raspbian Buster with desktop and recommended software
    デスクトップ(GUI環境)と財団おすすめソフト入り
  2. Raspbian Buster with desktop
    デスクトップ入りとなっていますが、色々ソフトも入っていました。今回はこちらのバージョンを使います。
  3. Raspbian Buster Lite
    デスクトップなし。コマンドラインだけでいいよという方はこちらをお使いください。

本家の回線は遅いのではかなり遅いので、日本のミラーサイトから落とした方が圧倒的に早いです。

Index of /pub/raspberrypi/raspbian/images

2019年8月現在では最新版はrapsbian-2019-07-12フォルダの
2019-07-10-raspbian-buster.zipで1.1Gバイト程度のサイズです。

(2)解凍ツール
1Gバイト以上のZIPファイルでは、lhaplusやwindowsのエクスプローラなどではうまく解凍できません。エラーが出たりエラーもなく解凍できていない場合があります。本家では7zipを推奨しています。

Download

私は、以前1.3GバイトくらいのJAVA統合開発環境pleiadesの解凍でExplzhを使ってうまくいったので、こちらを使いました。

ダウンロード
Unicode や UTF8-MAC の文字にも対応、セキュアな自己解凍書庫作成も作成できる、Windows10 対応の圧縮解凍ソフト「Explzh for Windows」のダウンロードページ。

(3)SDカードフォーマッター
SDカードのフォーマットを行うツールです。メモリカードの業界団体の出しているフォーマッターを使います。

SDメモリカードフォーマッター Windows用 | SD Association
SDメモリカードフォーマッター Windows用のダウンロードサイトです。

END USER LICENSE AGREEMENTをよく読んで、同意できれば「同意します」をクリックして
SDCardFormatterv5_WinJP.zip
をダウンロードします。
SDCardFormatterv5_WinJP.zipを解凍して出来た
SD Card Formatter 5.0.1 Setup JP.exe(バージョンは変わる可能性があります)をダブルクリックしてインストールを開始します。
インストールは「はい」、「次へ」、で進めて行ってOKです。

(4)SDカードへの書き込みツール
本家ご推奨の「balenaEtcher」を使ってイメージファイルをSDカードに書き込みます。
・balena.ioからWindowsインストーラをダウンロードします。

balenaEtcher - Flash OS images to SD cards & USB drives
A cross-platform tool to flash OS images onto SD cards and USB drives safely and easily. Free and open source for makers around the world.

・インストーラをダブルクリックして、インストールします。すべて「Next」で結構です。

(5)EXT4ファイルシステムドライバ
RaspbianのSDカードは、windowsで読み書きできるbootという名前のFAT32ファイルシステムと標準ではwindowsで読み書きできない rootfsという名前の Linux標準のEXT4ファイルシステムの2つのパーティションで構成されています。
今回は、boot も rootfsも修正する必要があるため、windowsからEXT4ファイルシステムを読み書きできるようにする必要があります。
別稿にまとめましたので、こちらを参照ください。

WindowsでLinuxのExt4ファイルシステムを操作する
はじめに1台のPCにwindowsとLinuxのデュアルブートにしてwindowsからLinuxのファイルを操作したい場合や、ラズペリーパイのブート用のSDカードを起動前に予め操作したい(私はこちらのためでした)windowsがL...

(6)SSHクライアント
ラズパイの最初の設定はSSHで接続して行います。windows PCに代表的なSSHのクライアントソフトTera Termをインストールします。
Tera Termはここからダウンロードできます。

https://ja.osdn.net/projects/ttssh2/releases/

ダウンロードしたteraterm-4.103.exe(バージョン名は異なる可能性があります)をダブルクリックしてインストールを開始します。
セットアップに使用する言語が日本語になっていることを確認し、あとは「次へ」でインストールを進めてOKです。

(7)VLCビュアー
ネットワークを経由してラズパイをwindowsPCからGUIで操作するためのリモートデスクトップソフトをインストールします。
ダウンロードはこちらからできます。

Download VNC Viewer | VNC® Connect
Control VNC® enabled computers with VNC® Viewer.

ダウンロードしたVNC-Viewer-6.19.715-Windows.exe(バージョンは変わる可能性があります)をダブルクリックして、あとは「Next」でOKです。

準備は、ここまでです。お疲れさまでした。
後編のセットアップ編ではSDカードにOSを焼きこみ、ネットワーク環境に合わせてファイルを修正します。
電源を入れてラズパイを立ち上げ、あとはwindowsPCから設定を行っていきます。