はじめに
その1:設定編では、ラズベリーパイ(以下、ラズパイ)の立ち上げのために必要なプログラムなどを準備しました。
その2:設定編では、ラズパイの標準OS「raspbian 」 を マイクロ SDカードに書き込み、必要な設定ファイルを修正します。
そして、この マイクロ SDカードをラズパイに挿し、電源を入れて raspbian OSを立ち上げます。
その後はwindowsPCからリモート操作で設定をしていきます。ラズパイにディスプレイ・キーボード・マウスをつなぐことはありません。
さあ、始めましょう。
設定その1 SDカードの作成
SDカードにraspbian OSを書き込み、必要なファイルを書き換えます。
SDカードのフォーマット
※フォーマットを行うとSDカードのすべてのデータが消去されます。
必要なデータは必ずバックアップを取ってください。
PCにカードリーダを接続し、カードリーダにマイクロSDカードを挿入します。
デスクトップのSD Card Formatterのアイコンをダブルクリックして、 SD Card Formatter を起動します。もし、 デスクトップにSD Card Formatterのアイコン が無ければ、スタートボタン→SD Association→ SD Card Formatter で SD Card Formatter を起動します。
カードの選択で、「更新」をクリックして挿入したマイクロSDカードが選択されていることを確認します。
フォーマットオプションはデフォルトのクイックフォーマットで結構です。上書きフォーマットは時間がかかります。
「フォーマット」をクリックすると、フォーマットはすぐに終了します。
※ Linux File Systems for Windows を起動した状態でフォーマットしようとすると失敗します。
対策はこちらをご覧ください。
SDカードに Raspbian OSを書き込む
次は、ブートUSB作成ツールbalenaEtcherを利用して、準備編でダウンロード・解凍したRaspbian OSのimageファイルをSDカードに書き込みます。
デスクトップのbalenaEtcherのアイコンをダブルクリックして、 balenaEtcher を起動します。もし、デスクトップに balenaEtcherのアイコン がなければ、スタートボタン→ balenaEtcher で balenaEtcher を起動します。
「Select image」をクリックすると、ファイル選択ウィンドーが立ち上がりますので、準備編でダウンロード・解凍した2019-07-10-raspbian-buster.img(ファイル名はバージョンによって異なります)を選択します。
次に、「Select target」をクリックして書き込むSDカードを選択します。選択すると、下図のように名称と容量が表示され、書き込み可能になったので「Flash」が押せるようになります。
「Flash」 をクリックして書き込みを開始します。
書き込みが終了すると書き込みデータの確認(verification)が行われて、SDカードを取り外し(unmount)します。
続けてSDカードを操作するには、一度SDカードをカードリーダから抜いてから差し込みます。
Raspbian OSの設定ファイルを修正する
SSHの許可
ネットワーク経由で安全にwindows PCからラズパイを操作するために、SSHを許可するようにします。
エクスプローラを開いて、マイクロSDカードを開くと2つの パーティション が追加されているのが判ります。1つは「boot」という名称での約250Mバイトの容量のものです。この 「boot」 パーティションはラズパイ起動時に使われるwindowsでも読み書きできるFAT32ファイルシステムでできています。
もう一方の 「 rootfs」パーティションは、LinuxのExt4ファイルシステムでできています。 準備編で用意したLinux File Systems for Windows が起動していれば rootfsパーティション が見えます。
もし、 「 rootfs」パーティション が見えなければデスクトップのLinux File System foe Windowsアイコンをダブルクリックして Linux File System foe Windows を立ち上げてからエクスプローラーを再起動してください。
エディタを開いて、何も書かずにそのまま 「boot」 パーティション に 「SSH」という名前で 「名前を付けて保存」します。
「boot」 パーティション をエクスプローラで開いて、先ほど作ったSSH.txtの拡張子.txtを削除します。
Wifiの設定
※有線LANしか使わない方は飛ばしてください。
bootパーティションの直下に「wpa_supplicant.conf」というファイルを作成します。なお、文字コードはUTF-8、改行コードはLFにしてください。
秀丸エディタではファイル→エンコードの種類で変更できます。
windowsに付属するメモ帳は文字コードや改行コードを変更できないため使わないでください。
多機能で安定動作の秀丸エディタ は有料ですが、無料ではサクラエディタがおすすめです。
country=JP
ctrl_interface=DIR=/var/run/wpa_supplicant GROUP=netdev
update_config=1
network={
ssid="SSID名"
psk="暗号キー"
ここで、ssidとpskの値はダブルクォーテーション「”」で囲います。
IPアドレスの固定化
raspbian OSはデフォルトでDHCPがオンになっているのでIPアドレスはDHCPサーバから都度払い出され、変動があります。SSHやVLCでwindowsPCからラズパイに接続する際はIPアドレスを設定する必要がありIPアドレスが変わると大変接続しずらくなります。
一度DHCPがオンの状態でラズパイを立ち上げ、IPアドレスを探し出して固定アドレスに書き換える方法が多く紹介されています。
今回は、ラズパイを立ち上げる前に必要な設定ファイルを書き換えて固定IPアドレスを設定します。そのため ラズパイのIPアドレスを探す必要はなくなります。
ただし、IPアドレスの設定ファイル「dhcpcd.conf」は、通常のwindowsPCでは読み書きできないEXT4ファイルシステムのrootfsパーティションにあります。
今回は、Linux File System for windowsをインストールしているので rootfsパーティション もwindowsPCで読み書きできます。
etcフォルダの下に dhcpcd.conf があります。このファイルを秀丸エディタやサクラエディタなどのいろいろな文字コード・改行コードが扱えるエディタで開きます。
IP アドレスの設定例は下記のデータを使用しています。皆様の環境に合わせて適宜修正してください。今回の設定はIPv4アドレスのみとします。
ラズパイのIPアドレス: 192.168.0.10
サブネットマスク: 255.255.255.0
デフォルトゲートウェイ: 192.168.0.1
DNSサーバのIP アドレス:192.168.0.1 8.8.8.8
- 有線LANの設定
dhcpcd.conf の最後に下記4行を追加します。
interface eth0
static ip_address=192.168.0.10/24
static routers=192.168.0.1
static domain_name_servers=192.168.0.1 8.8.8.8
- 無線LANの設定
dhcpcd.conf に下記4行を追加します。
interface wlan0
static ip_address=192.168.0.10/24
static routers=192.168.0.1
static domain_name_servers=192.168.0.1 8.8.8.8
文字コードと改行コードを確認して上書き保存でマイクロSDカードの作成はおしまいです。
やっと電源を入れる直前まできました。
設定その2 ラズパイの設定
SSHでのCUI設定
ここからは、ラズパイの電源を入れて設定をしていきます。
まずは、ラズパイの裏側のSDカードスロットに、先ほど作成したSDカードを挿入します。
有線LAN接続の場合はLANケーブルも接続してください。
SSHとVNC ビュアをインストールしたwindowsPCもラズパイと同じネットワークセグメントで立ち上げておいてください。
では、ラズパイの電源を入れてください。赤色のPWR LED が点灯し、緑色のACT LEDがチカチカ点滅します。 ラズパイの電源を入れてからおおよそ1分30秒で緑色の ACT LED が消灯します。
この状態で、 windowsPC でTera Termを起動してください。
「Tera Term:新しい接続」ウィンドウが立ち上がります。
下図のようにホストに「192.168.0.10」を設定します。後は初期設定のままでよいはずですが、念のため 「 サービス 」 がSSH 、 「 TCPポート 」 が22、 「 SSHバージョン 」 がSSH2になっていることを確認しておいてください。
「 OK 」 をクリックします。
windowsPCには、raspbian OS画面がの初期メッセージが表示され、コマンド入力待ちになっています。
パスワードの変更を促すメッセージが表示されていますが、このすぐ後のGUIで修正します。
GUIで操作するために、VNCサーバーを立ち上げます。
コマンドラインでraspbianに関する各種設定をまとめて行うことのできる”Raspberry Pi Software Configuration Tool”を立ち上げます。
sudo raspi-config
「 5 Interfacing Options」を矢印キーで選択後Enterキーで確定します。
「P3 VNC」をEnableします。
あわせて、「7 Advanced Options」でメモリを最大にする「A1 Extend Filesystem」を設定します(他の項目はVNCビュアの初期設定でGUIで設定できたのですが、この項目だけなかったのでここで設定しておきます)。
<Finish>でraspi-configを終了します。
VNCビュアでのGUI設定
ここからは、windowsPCからVNCビュアを使ってラズパイをGUIで設定していきます。
まずは、VNCサーバーを起動するためにラズパイを再起動します。
SSHの画面ではコマンドプロンプトが立ち上がっています。
コマンドプロンプト で
sudo shutdown -h now
1分30秒ほど待って緑色のACT LEDが消えたら、 windowsPCでVNCビュア を起動します。
上部のテキストボックスにラズパイのIPアドレス
192.168.0.10
を入力します。
ラズパイのウィンドーが立ち上がり、国の設定を聞いてきます。イギリス生まれのラズパイなので初期設定は英国になっています。日本・日本語・東京を設定して「Next」をクリックします。
パスワード変更、画面設定と進めます。
次のwifi設定はすでに済ませているので<Skip>で結構です。
最後は、ソフトウェアアップデートです。少々時間がかかりますが、スキップしない方がよいでしょう。
以上で、ラズパイの最低限の立ち上げは終了です。
あとは、お好みでいろいろなハードウェア・ソフトウェアをインストールしたり自作したりしてラズパイをエンジョイしてください。